法華堂(三月堂)
Hokke-dō(Sangatsu-dō)
国宝 奈良時代
●ほっけどう
『東大寺要録』によれば、天平5年(733〜747)から天平19年までの創建と考えられている東大寺最古の建物である。不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)を本尊とするところから古くは羂索堂と呼ばれていたが、毎年3月に法華会(ほっけえ)が行なわれたことから、のちに法華堂と呼ばれるようになった。後方(左側・北側)の正堂と前方(右側・南側)の礼堂と二つの部分からなっており、当初は双堂形式の建物であったが、現在の礼堂部分は正治元年(1199)に重源上人によって新造されたものである。東大寺の前身である金鍾山寺の主要伽藍(がらん)のひとつで、このお堂で華厳経が日本で初めて講義されたともいわれている。堂内の仏像群は、天平文化のきらびやかさを想起させる。
法華堂での法要は毎月17日に厳修されます。4月から10月までは午前8時より、11月から3月までは午前8時半より、約50分間です。
この法要は午前8時半から入堂、聴聞できます。
但し、堂内のスペースの関係で、希望者が多ければ入堂できない場合もございますのでご了承ください。
お願い
堂内での撮影・スケッチ・懐中電灯の使用はご遠慮ください。
御朱印
法華堂の諸仏
法華堂の堂内には本尊の不空羂索観音像を中心に合計10体(国宝、奈良時代)の仏像がところ狭しと立ち並んでいる。これらの群像のかもし出す雰囲気は、観る人をしばし厳かな「ほとけたちの世界」にいざなう。堂々たる体軀で、悩める人々をどこまでも救いに赴こうとされている不空羂索観音像、髪を逆立て、忿怒(ふんぬ)の相もすさまじい金剛力士像、それぞれにほとけの世界を守ろうと多様な表情でたたずむ四天王像、それに東大寺創建以来今なお色あざやかに、金剛杵を振り上げ忿怒の相で仏敵より人々を守ろうとする秘仏執金剛神像(しゅこんごうじんぞう/特別開扉12月16日)など、天平彫刻の粋が集まっている。かつては本尊の両脇に(伝)日光・月光(にっこう・がっこう)両菩薩像がたたずんでおられた。今これらは吉祥天像(きちじょうてんぞう)、弁才天像(べざいてんぞう)とともに、耐震対策上、東大寺ミュージアムへ移されている。
平成22年(2010)から25年(2013)にかけて行なわれた法華堂須弥壇及び諸尊像修理事業で新たな発見があった。特記すべきは、本尊が立たれている八角二重壇の下段に八角形の台座や厨子・経机などの痕跡が見出されたことで、創建当初は日光・月光菩薩(梵天・帝釈天)、現戒壇堂四天王像、それに背面の執金剛神像の七体の塑像が二重壇の下段に安置されていたと専門家はみている。また巨像の梵天(ぼんてん)・帝釈天(たいしゃくてん)、四天王、金剛力士の8体はこれらの諸仏からおくれて法華堂に安置されたと考えられている。