【終了】特集展示「二月堂ー修二会を支える法会空間ー」

令和6年2月10日(土)~3月18日(月)

  

 お水取りの名で親しまれている東大寺の修二会(しゅにえ)は奈良時代以来、毎年一度も途絶えることなく現在まで続いている稀有な法会です。十一面観音を本尊とし人々の犯した罪を懴悔して、五穀の豊穣や世の中の安穏などを祈るこの法要は、春を迎える前の旧暦2月(現在は3月)に厳修されます。この修二会の会場となるのが「二月堂」です。一般の仏堂とは異なり、二月堂はその名が示すとおり修二会を修するための堂宇として発展してきました。修二会が行われる空間は信仰の高まりに応じて、次第に増築され現在の姿になったと考えられています。まさに古代以来、法要とともに発展してきた建築であり、行法の原初形態や変遷の過程を伺うことのできる特異な建物と言えるでしょう。

 この二月堂は東大寺を襲った二度の兵火を耐え抜きましたが、江戸時代前期に失火により焼失してしまいます。幕府の援助により素早く再建された現在の二月堂は焼失前の姿が忠実に再現されており、修二会を継続し続けようとした人々の強い意思がうかがえます。今回は二月堂が現在部分的な修理が行われているのにちなみ、再建以後の二月堂について、修二会を支え続けてきた法要空間と修理の歴史の一部をご紹介します。

 

 なお、期間中、奈良国立博物館においても特別陳列「お水取り」展(2月10日[土]〕~3月17日[日])が開催されます。あわせてご観覧されますとより深く修二会をご理解いただけます。両館にご入場の方には特製散華をプレゼントいたします。(※奈良国立博物館会場は会期終了が一日早いのでご注意ください)

 

〈主な展示品〉

二月堂縁起絵巻 下巻    室町時代(16世紀)

二月堂再建地割図(梁行)  江戸時代・寛文7年(1667)

滑車(二月堂内陣戸帳用)  江戸時代・寛文9年(1669)か

東大寺境内図        江戸時代(18世紀)

東大寺年中行事記(元文三年)江戸時代・元文3年(1738)

棟札(宿所、湯屋、仏餉屋) 江戸時代(18~19世紀)