令和6年8月31日(土)~10月17日(木)
東大寺に数多く伝わる古文書のなかに雅慶という人物の自筆の手紙がまとまって残っています。宇多天皇を祖父に持つ雅慶は高貴な身分ながら若くして出家し、仏教界で頭角を現して僧侶の最高位である大僧正にまで昇りつめます。姪が藤原道長と結婚したことから、雅慶は一条天皇の護持僧ともなり、天皇家や摂関家の仏事でも活躍しました。東大寺の別当も務めた雅慶ですが、晩年には東大寺と荘園をめぐって争うことになってしまいます。この際に東大寺や太政官とやりとりをした自筆書状を一挙に公開します。80歳を超えてもなお力強さを残す筆跡からは後に「性気勇鋭」と称された通りの人柄が偲ばれます。京都の宮中では女房文学が著されるなど雅な貴族文化が花開きはじめたころ、一方の奈良の地で繰り広げられた出来事の様子を雅慶の手紙を中心にしてご紹介します。
〈主な展示品〉
円融法皇御受戒記 平安時代・永治2年(1142)
東大寺別当統譜 江戸時代・明和5年(1768)
国宝 大僧正雅慶書状(3月27日付) 平安時代・寛弘9年(1012)
国宝 大僧正雅慶書状(3月27日か) 平安時代・寛弘9年(1012)
国宝 雅慶政所下文案(3月30日付) 平安時代・寛弘9年(1012)
国宝 大僧正雅慶書状(4月24日付・4月21日付) 平安時代・寛弘9年(1012)
国宝 大僧正雅慶書状(4月23日付) 平安時代・寛弘9年(1012)
国宝 大僧正雅慶書状(6月15日付) 平安時代・寛弘9年(1012)
〈関連展示〉
細字法華経 平安時代(10~11世紀)
重文 願文集 平安時代(11~12世紀)
※展示箇所は藤原資業作・藤原頼通室為先父中書王供養伽藍願文 長暦4年(1040)