この度、大仏殿内霊名所にて大方廣佛華厳経(抜粋)が載った経本をお求め頂けるようになりました。
華厳宗所依の経典である『華厳経』の「入法界品」は求道者である善財童子が文殊菩薩の導きにより、真理を求めて五十三の[さまざまな立場の]善知識(仏の道を説き導いてくれる人)を訪ね遍歴し、普賢菩薩行の境地に入って行く物語が説かれています。
その「入法界品」の末尾には「普賢行願讃」と呼ばれる章句があり、主に普賢菩薩の行願(何かを成し遂げようとする誓願)を十に要約したものが説かれています。
※その十とは「諸仏を礼敬すること、如来を称讃すること、広く供養を修すること、業障を懺悔すること、功徳を随喜すること、転法輪を請うこと、仏の住世を請うこと、常に仏に随い学ぶこと、恒に衆生に順うこと、普く皆を廻向すること」である。
また『如心偈』は『華厳経』の「夜摩天宮菩薩説偈品」に書かれてあり、華厳経の髄とも言える部分となっております。 その中の「心佛及衆生 是三無差別 諸佛悉了知 一切從心轉」という言葉は、心と仏と衆生のこれら三つに差別はない。この世の一切は心から立ち現れるのだと諸仏はあますことなく了知されている。この世の全ては自身の心から出来ているの様な意味となるでしょうか。
これらのお経は東大寺の日々の勤めの中でも読誦され、現在、毎日正午より大仏殿にて新型コロナウイルスの早期終息と、物故者追福菩提を祈るため行っている法要でもこの『華厳経』偈文と『如心偈』を読誦しております。お手に取って読誦していただければ幸いです。